ぼくらのストロベリーフィールズ







「一吾ーこれの続きねーの?」


「それ最新刊」


「まじかー! 久々にヤンジャン買ってくっかー」



一吾くんの家は、時々、不良のたまり場になっていた。


同じ学校の悪そうな人の他、前に一吾くんにやられたヒュウガくんもその中にいる。



うう、制服にタバコの臭いがついちゃうよ……。



私もその輪の中でファッション雑誌を読んでいたけど、


派手な先輩女子たちがキャピキャピと部屋に入ってきたため、微妙に興ざめしてしまった。



「一吾ちゃーん。ピザ買ってきたよー」


「あー。どーも」



一吾くんは早速、モテているようだ。


今日はご飯とか心配なさそうですね。



「私、帰るね」


「メシは?」


「家で食べる」



一吾くんは根元が黒くなってきた金髪を触りながら、私を見た。


「…………」


「今日、最後だから」



私はそう伝えた後、一吾ちゃーん、と呼ぶ女の子の声をBGMにして外に出た。






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