ぼくらのストロベリーフィールズ
「ん。この前のカレーより全然いける」
「そっか、良かった!」
レモン味のクリームソースに麺をあえて、トッピングにレモンの皮をまぶしたパスタ。
彼に野菜も食べてもらうよう、レタスとトマトのサラダも添えておいた。
「本当だ。美味しいね、これ」
私もそれを口にすると、今まで自分では作ったことのない、深みのある味が口の中で混ざりあう。
今度はカレーもお母さんの作り方を参考に、作ってみようかな。
「そういえば昔も、のばらのお母さんの料理、美味かったし」
「……そっか、一吾くん家で食べてたことあったよね」
「うん」
「でも最近はひどかったんだよ。たぶん男できてからだろうけど。おにぎりだけとか、お金置かれてるだけとか」
そこまで言って、はっと気が付いた。
一吾くんのお母さんは確か水商売系で、いい噂を聞いていなかった。
家事はせず、一吾くんをほぼ放置していた状態だったらしいし、
いろんな男の人が家に出入りしていたらしいし。
私は一吾くんに言ってはいけないような愚痴を口にしたのかもしれない。