ぼくらのストロベリーフィールズ
☆
「何でそんな警戒してんの?」
「いや、だって」
「へー意識してるんだ」
「だから、違うって!」
今日はそのまま一吾くんの家に泊まることにした。
時間も遅いし、誰もいない家で1人でいるのも辛そうだったから。
1人用の布団に2人で入る。
恐る恐る横になり、掛布団を首まで上げると、一吾くんの温もりをすぐ隣から感じた。
いわゆる年頃の男の子と添い寝しているはずなのに。
なぜか懐かしい感覚がして、安心した。
「こうやって寝るの。家族みたいでいいね」
「そう?」
「昔は、お父さんがこっちでお母さんがこっち。3人で川の字で寝てたの思い出して」
また家族の話をしてしまい、言わなきゃよかったかもと一瞬後悔したけど。
一吾くんの方からふっと笑い声が聞こえた。
「まあ、おれとだと川じゃなくて『り』の字にしかならないし、物足りない?」
「ううん。安心するよ」
部屋の中が真っ暗だからか、
恥ずかしかったけど、素直な気持ちを伝えることができた。
「…………」
少しだけ、沈黙が訪れる。
え。一吾くん、もしかして照れてる? まさかまさか!
「あはは。ここくればまた一緒に寝てやるよ」
返ってきたのは、ぷぷぷと半笑いでの言葉。
はい、やっぱり君はそういう子ですよね。
「出たー。一吾くん得意の上から目線」
そう言って、私も笑いながら返すと、
「でも、結構気に入ってんでしょ」
と調子に乗った発言が戻ってきた。
まあ、嫌いじゃないですけど。