ぼくらのストロベリーフィールズ







「何でそんな警戒してんの?」


「いや、だって」


「へー意識してるんだ」


「だから、違うって!」



今日はそのまま一吾くんの家に泊まることにした。


時間も遅いし、誰もいない家で1人でいるのも辛そうだったから。



1人用の布団に2人で入る。



恐る恐る横になり、掛布団を首まで上げると、一吾くんの温もりをすぐ隣から感じた。



いわゆる年頃の男の子と添い寝しているはずなのに。


なぜか懐かしい感覚がして、安心した。



「こうやって寝るの。家族みたいでいいね」


「そう?」


「昔は、お父さんがこっちでお母さんがこっち。3人で川の字で寝てたの思い出して」



また家族の話をしてしまい、言わなきゃよかったかもと一瞬後悔したけど。


一吾くんの方からふっと笑い声が聞こえた。



「まあ、おれとだと川じゃなくて『り』の字にしかならないし、物足りない?」


「ううん。安心するよ」



部屋の中が真っ暗だからか、


恥ずかしかったけど、素直な気持ちを伝えることができた。



「…………」



少しだけ、沈黙が訪れる。


え。一吾くん、もしかして照れてる? まさかまさか!



「あはは。ここくればまた一緒に寝てやるよ」



返ってきたのは、ぷぷぷと半笑いでの言葉。


はい、やっぱり君はそういう子ですよね。



「出たー。一吾くん得意の上から目線」



そう言って、私も笑いながら返すと、


「でも、結構気に入ってんでしょ」


と調子に乗った発言が戻ってきた。



まあ、嫌いじゃないですけど。



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