ぼくらのストロベリーフィールズ


でも、図星をつかれたみたいで、何か悔しい!


よし。たまには反撃してみよう。



「てか、一吾くんの身長だと『り』にはならないでしょ、せいぜい『い』の字って感じじゃん?」



「……あ?」



ぷちっと一吾くんの何かが切れた音がしたかも。やばっ!



「はいはい冗談です! ほらほらアイドルだって一吾くんくらいの身長の子多いじゃん。ね、ね! あ、私勝手に事務所に履歴書送っちゃおっかな~なんて」



身を守るためにも、必死でフォローするはめに。



『い』の字どころか蜂の巣にされるところだったよ。ふう。



そのまま無言の時間が過ぎる。



もう寝たのかな? 


と思いきや、


「おれ……歌と踊りは苦手だわ」


という、悩ましげなつぶやきが隣から聞こえてきた。



「…………」


もう何も言う気が起きなかったため、私は静かに目を閉じた。




「すーすー」



しばらくすると、等間隔の静かな寝息が聞こえてきた。



ああ、本当に家族みたいだな。



お兄ちゃんとか弟がいたらこんな感じなのかな?


ううん、一吾くんはどっちでもないなぁ。タメだし。



そんなことを考えながら、私も意識がとぎれとぎれになってきた、その時。



一吾くんはころんと私の方へ寝返りを打った。



「え……っ」



そのまま、彼は私にぎゅっと抱きついてきた。



――ちょ、ちょっとー!!



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