ぼくらのストロベリーフィールズ



彼の細くて固い腕に上半身が包み込まれ、寝息とともに彼の体がゆっくりと揺れる。



手は冷たいのに、その体は温かかった。



ちなみに彼は気持ちよく眠っているようで、


私だけが、どきどきどきと鼓動が早まってしまっている。



「ちょ……一吾くん?」


「すーすー」



だめだ、完全に爆睡中だ。



しかも、そのまま彼の脚も私の膝の上に重ねられ、完全に全身抱きつかれているような状況に。



ちょっと待て。この体勢やばいっしょ!



いつか見た、彼の引き締まった上半身を思い出してしまう。


その体に包まれると、やっぱり細いんだけど、固くて骨ばっていて、昔の彼とは違う、男らしさを感じてしまった。



「……っ」



首筋に彼の息がかかり、触れ合う部分が熱を帯びていく。



うわ、何これ! 落ち着け私!



起こさないように、静かにその体をはがすと、ありがたいことに一吾くんは逆向きに寝がえりをうってくれた。



ふう、よかった。



って、私は何でこんなにドキドキしてるんだ?


だから一吾くんは家族みたいな人だってば!


そうだそうだー!



必死に頭の中で1人会話をしている私。



対して一吾くんは、すーすーと気持ちよさそうに眠り続けていた。








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