ぼくらのストロベリーフィールズ
次の日、僕と母は学校に呼び出された。
前の日に倒してしまった3人組は、なぜか顔に絆創膏や湿布を貼った状態で。
困っている担任と自分たちの母親に、痛い痛いと訴えていた。
転ばせて、蹴りを入れただけ。顔をやった覚えはないのに。
もちろん彼らの親たちは、僕と母を責めた。
一方的に殴るとか考えられない。
こんなこと言いたくないけど、育ちが悪いようにしか見えない。
どうせまともな教育してないんでしょ? などと。
母は必死になって、その親たちに頭を下げていた。
仕方なく僕も謝る羽目になった。
確かに倒してしまったのは事実だし。
担任はおろおろとその親たちをなだめるだけだった。
『おれそこまでやってないし、襲ってきたのはあいつらなんだけど』
帰り道、母にそう愚痴ったが、
『お金とか要求されなくてよかったー。もう、お母さん忙しいんだから、余計な仕事増やさないでくれる?』
と言って、慌ててタクシーを呼び仕事に行ってしまった。
もちろん、3人組の顔の絆創膏は次の日、綺麗に剥がされていた。
そして、
『一吾ってヤツ、親がキャバ嬢で育児放棄されてるらしいぜー』などと、
微妙に合ってるんだか間違ってるんだか分からない噂を回し始めた。
おかげで、クラスの普通の女子たちは次第に僕を避けてくれるようになった。