KISSしてダーリン。
魅力的な唇をした女の子が、可愛い声でカイの名を呼び、後を追いかけて教室を出て行った。
その瞬間、先程の光景が走馬灯のように蘇った。
勢いよく振り返ると、そこには――――
カイの隣にピッタリとくっついた女の子と、…私にだけ向けてくれると思っていた笑顔より、何倍も優しい笑みを浮かべたカイがいた。
……なに、それ
なにそれ、え?
え、私、カイの彼女、だよね?
『ねぇ、私たちって付き合ってるよね?』
『え、今さら?』
そう言ってくれたのは、つい先日のことだったはず。
じゃあ、やっぱり、浮気?
こんな堂々と?
私の目の前で?
それ見て、私が何とも思わないとでも思った?
「……っざけんな」
腹から込み上げる怒りを小さく呟き、てのひらを強く握って叫んだ。
「カイ!!!!!!」
私の発した大きな声に、カイだけでなく、チラチラとこっちを見ていた周囲の女子たちに加え、近くにいた男子たちも振り返った。