KISSしてダーリン。




魅力的な唇をした女の子が、可愛い声でカイの名を呼び、後を追いかけて教室を出て行った。


その瞬間、先程の光景が走馬灯のように蘇った。


勢いよく振り返ると、そこには――――


カイの隣にピッタリとくっついた女の子と、…私にだけ向けてくれると思っていた笑顔より、何倍も優しい笑みを浮かべたカイがいた。



……なに、それ


なにそれ、え?


え、私、カイの彼女、だよね?



『ねぇ、私たちって付き合ってるよね?』


『え、今さら?』



そう言ってくれたのは、つい先日のことだったはず。


じゃあ、やっぱり、浮気?


こんな堂々と?


私の目の前で?


それ見て、私が何とも思わないとでも思った?



「……っざけんな」



腹から込み上げる怒りを小さく呟き、てのひらを強く握って叫んだ。



「カイ!!!!!!」



私の発した大きな声に、カイだけでなく、チラチラとこっちを見ていた周囲の女子たちに加え、近くにいた男子たちも振り返った。



< 27 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop