KISSしてダーリン。



からかい口調で見ると、背筋の凍るほど鋭い目で睨まれた。


ヤ○ザですか?



「上手くいかない……」


「こんなに愛してるのに?」


「っせーよ!」



うわっびっくりした!


ちょっとからかいすぎたかな…


カイの叫び声がプールに響き渡って、部員たちが何だとこちらを見る。



俺は、小学校のころからカイと一緒にいるけど。


初めて見た、こんなカイ


落ち込むところも


声を荒げるところも


呆然と、動けなくなるほどショックを受けているところも



カイを動かせるのは、ナッちゃんしかいないってことだね。



「でもさ、あんなに派手にやっちゃったから、せっかく築き上げたものが、パーだね」


「チッ」


「例えば…男とか」


「クソ、」



濡れた髪をぐしゃぐしゃとさらに乱すカイ。



「入学してからことごとくガードしてきたのにね~どうすんの、番犬さん」


「はぁ…」


「早くしないとさ、取られちゃうよね」


「――…」



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