恋に落ちるその瞬間



ずっとユウのとなりにいたのは私だった。


ユウの一番近くにいた女の子は、間違いなく私だった。


なのになんでユウは私のことを見てはくれなかったんだろう。


本当にたくさんの時間をふたりで共有して来た。


ユウの笑顔に癒されて、私もユウの支えになっていたつもりだった。


……そうじゃ、なかったのかな。



『ははは!』


『もうっ、笑わないでよ〜』



昼休みに偶然、笑って楽しそうに話すふたりの姿を見て思わず持っていた教科書を落としてしまった。


ふたりのことなんか、見たくなかった。
あんなに仲良しな姿……。


落としたモノをしゃがんで拾いながら、目の前を歪ませる涙を何度もぬぐった。


……こんなのってないよ。


ずっとずっと好きだったのに。



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