恋に落ちるその瞬間
ジトーっとまだ疑いの眼差しで見てくるのを「本当に大丈夫」って目をそらす。
……うぅ、優しくしないでよ。
彼女がいるくせに……。
「今日で卒業だねぇ」
「うん……」
「ルイちゃんと離れるの、寂しいな……」
「私もだよ」
出会った頃はあんなにも弱虫だったのに。
いつの間にかこんなにも成長して、私の胸をドキドキさせるいい男になっちゃって……。
でも、私は出会った瞬間に恋に落ちたんだよ。
守ってあげたいって全力で思ったの。
ユウが彼女に出会って恋をしたことを聞いた時、私がユウに想いを寄せていた時間はムダだったんじゃないかって、そう思ったんだ。
だけど、違った。
なにもムダなんかじゃなかった。