恋に落ちるその瞬間
*
卒業式が終わって、昇降口前ではみんながみんなの写真を撮りあったりしている。
寂しいと、号泣している生徒だっているほどの卒業式の雰囲気なのに。
私は、ひとり深呼吸をして彼女とにこやかに写真を撮るユウのもとへと向かった。
……迷いがないわけじゃない。
今だってほら。手が震えてるし。
だけどチャンスはもうない。
昨日の夜にたくさん悩んだ。
ーーやっぱりやめよう。って。
言ったってユウを困らせるだけだって、そう思ってた。
だけどこのままだと、過去の、ユウに恋をして来た自分に申し訳なくて。
これは決着をつけるための、戦い。
勇気を出して、さあ。
行こう。
「ユウ」
「ん?」
「ちょっと、いいかな」