恋に落ちるその瞬間
「驚いた?」
「う、ん……すっごく」
「ははっ、やっぱり」
ユウは気づいてないと思ってたよ。
ユウは鈍感だし、
私が演技派だったからでしょう?
本当に親友のように仲良くしてたから。
でももっと、私たちの関係を表すならきっと"姉弟"のほうがしっくり来るのかもね。
「ごめんね。僕……ルイちゃんの気持ちに全然気づかなくて」
「うん。大丈夫だよ」
「ルイちゃんが僕のこと好きでいてくれたこと、知らずにずっとそばにいた。それがどれだけルイちゃんを苦しめたか……」
涙ぐむユウの肩にそっと触れる。
泣かないで、ユウ……。
「ユウは悪くないよ」
仕方のないことだよ。
誰かと誰が恋に落ちるかなんて、誰にもわからない。
自分の好きなように操作できるわけじゃないし。
自分が好きな相手が同じように自分のことを好きでいてくれるなんてそんな奇跡は滅多にないんだから。