臆病者達のボクシング奮闘記(第五話)
発見
翌々日、中間テストの結果が出た。康平は順位が十五位がったものの、携帯電話を買って貰える二十位上昇までは届かなかった。
LHRが終わった後、康平の前の席に座っている亜樹が、後ろを振り返った。十一月に入って席替えはあったが、亜樹はまた康平の前の席である。康平の成績を聞いて彼女は言った。
「そっかぁ……君なりに頑張ったんだけどね」
「携帯(電話)は残念だけど、まぁ仕方ないよ」
亜樹は意外そうな顔をした。
「結構サバサバしてるのね? ……数学が良くなかったのかな?」
康平は数学が苦手だった。図書館で勉強する時、彼は亜樹から教えて貰っていた。だが、今回は亜樹が弥生に独占されて、康平は彼女に教えて貰う事が出来なかった。
今回の康平の成績は、数学以外は格段に良かった。ただ、彼は亜樹に気を遣わせないように、少し誤魔化して答えた。
「……それだけじゃないよ。他に、思ったより良くない教科もあったからさ」
「それだけじゃないって事は、やっぱり数学が悪かったのね。……それと、これから土曜日は図書館に行けなくなったから、健太と弥生ちゃんに言っておいてね」
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