ずっと、君に恋していいですか？

彼女に追い付きたい彼氏

吹き付ける風が日増しに冷たくなる11月下旬。

ガソリンスタンド勤務者にとって厳しい季節が少しずつ近付いて来た。

真夏の繁忙期と秋の行楽シーズンを終えて、少し客足の落ち着いた郊外のSS(サービスステーション)では、今日もスタッフたちが笑顔で接客をしている。


「いらっしゃいませ、こんにちは！」

「レギュラー満タンね。」

「いつもありがとうございます。」

若い男性スタッフは女性客の差し出したカードを笑顔で受け取り、計量器のPOSに通して給油を始めた。

女性客は車から降りてサービスルームの自動販売機で温かい缶コーヒーを買って戻って来ると、フロントガラスを拭いている男性スタッフに声を掛けた。

「それにしても、だんだん寒くなってきたわねぇ。」

「そうですねぇ。この間まで暑かったと思ったら、あっという間に冬になりますもんね。」

「ホントに早いわよね。冬は寒くて大変でしょう。」

「冬はあんまり汗かかないし、防寒着もありますからね。真夏よりはましですよ。」

「若い人は元気ね。」

「元気だけが取り柄なもんで。」