ずっと、君に恋していいですか?
鍵を開けて部屋の中に入り、暖房をつけた。

「ずっと待ってたの?」

「一時間くらいかな…。」

「遅くなるって言ったのに…。」

志信はコートとジャケットを脱いでネクタイを外し、ベッドの上のブランケットを手に取った。

「おいで。寒かっただろ。」

いつものように薫を後ろから抱きしめ、ブランケットで包むようにして温めた。

「ふふ…温かい…。」

薫は志信の腕の中で、幸せそうに笑う。

「なんか…ごめんな。」

「何が?」

薫が尋ねると、志信はバツの悪そうな顔をした。

「オレ、ちょっと冷たかったかなって…。」

「うん…。もう嫌われたのかなって思った。私、志信を怒らせてばっかりだから。」

「怒るっていうか…。」

「クリスマスイブ…一緒に過ごせなくてごめんね。」

「うん…。」

「お料理もケーキも、美味しかった。ありがとう。」

“ありがとう”の一言が嬉しくて、志信は薫の髪を撫でながら微笑む。

「食べてくれたんだ。」

「食べたよ、ちゃんと。でも志信と一緒なら、もっと美味しかっただろうなって思った。」

「…今度また作るよ。」

「ありがとう。」


< 103 / 187 >

この作品をシェア

pagetop