ずっと、君に恋していいですか？
仕事に関しては誰よりも素早く効率良くできる自信はあるのに、自分はどうやら恋愛の事になると、とてつもなく不器用なのだなと思う。

仕事と恋愛でさえ両立は難しいのに、仕事と主婦業と育児をいっぺんにこなすなんて至難の技に違いない。

世間の多くの女性が当たり前のようにそれをしている事が、薫には信じられない。

（とてもじゃないけどできる自信ないな…。）

薫がビールを飲みながら黙々と焼き鳥を食べていると、母親がため息をついた。

「ビール片手に焼き鳥って…ホント色気ないわねぇ…。誰かいい人はいないの？」

薫は母親の言葉に思わずむせそうになりながら、口の中の焼き鳥をなんとか飲み込んだ。

「いなくはないけど…。」

薫がボソボソと答えると、母親は怪訝な顔をする。

「ないけど…何？まさか不倫とかじゃないでしょうね?!」

「違うよ、ちゃんとした人。」

「じゃあ何よ？結婚は考えてないの？」

薫はため息をついてビールを飲み干した。

「考えなくはないけど、まだ付き合って半年くらいだし…。とにかく私は今、忙しくてそれどころじゃないの。もういいでしょ？」

無理やりこの話を打ち切ろうと立ち上がり自分の部屋へ戻ろうとすると、母親が大きな声で薫を呼び止める。

「赤松のおばさんが、アンタにお見合いしないかって。」

「しない!!」

大声でそう叫んで、薫は自分の部屋に戻った。

（結婚結婚ってうるさいなぁ…。お見合いって何よ？私には付き合ってる人がいるって言ってるのに…。）



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