ずっと、君に恋していいですか?
苛立ちながらタバコを吸った後、着替えを持ってバスルームに向かった。

お風呂で化粧を落とし、頭や体を洗って、湯船に浸かりながら志信の事を考える。

(志信とは一緒にいたいけど…。)

いつかはそんな日がくるのかもとは思うものの、女性としての自信がない薫には、こんな自分と結婚しても志信は幸せだろうかと思う。

もちろん他の人と結婚したいとは思わないが、せめてもう少し落ち着いて今後の事を考えられるようになるまで時間が欲しい。

志信が望んでくれるなら尚更、いい加減な気持ちでは結婚なんてできない、とも思う。

(志信は…私といて、ホントに幸せ…?)




年が明けた。

薫は三ヶ日の間、客足もまばらな山寺SSに出勤して、グランドでの接客は正月出勤の社員やアルバイトスタッフに任せ、キャンペーンの計画書やスタッフに渡す資料を作ったりしていた。


3日の夜、薫が仕事を終えて実家に戻ると、リビングでは母親と赤松のおばさんが待ち構えていた。

「薫ちゃん、久しぶりね。」

「お久しぶりです…。」

(いやな予感がする…。)

「早速だけど、これ見て。」

おばさんは嬉々としてテーブルの上に何かを広げた。

「ねーっ、なかなかいい男でしょう?勤め先も大手のしっかりした所だし、真面目でいい人よ。」

(やっぱり…。)




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