ずっと、君に恋していいですか?
人より仕事ができるだけに上層部から期待され、その細い肩に重責を背負わされて、どんなに疲れていても何事もなかったような顔をして期待以上の仕事をしている。

薫はきっとパソコンに向かって売り上げの計算をしたり会議に出席するより、グランドで思いっきり体を動かして働くのが好きなのだろう。

好きな仕事をしている時の薫はいきいきしていると志信は思う。

(かっこよすぎるな…。仕事が薫の生き甲斐なのかも…。)

自分は薫の人生のどれくらいの割合を占めることができるのだろうと志信がため息をついた時、作業を終えてピットから車を出そうとした薫が、志信の姿に気付いた。

「お疲れ様です。」

仕事中なので他人行儀な薫の挨拶が、志信にはやけに素っ気なく感じる。

「お疲れ様です。大至急仕入れの連絡もらってたタイヤ、届けに来ました。」

薫が志信と話し始めると、新入社員の男性社員は接客作業に戻る。

「ありがとう。思ったより早くて良かった。8時頃に来店される予定だから。」

「それから作業するの?」

「うん。夜じゃないと来られないんだって。タイヤ、もらうね。」

「ああ…オレがやるから、伝票チェックしといて。」


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