ずっと、君に恋していいですか?
その頃、山寺SSのマネージャーが復帰してSS部に戻った薫は、元のようにカウンセラーとして担当のSSを回っていた。

定時で仕事を終えると、自宅に帰って夕飯の支度をする。

ずっと志信と二人で夕飯を食べていたので、いまだにうっかり多めに作ってしまう。

(また志信の好きな物作っちゃったなぁ…。)

一人分には多すぎる志信の好きな料理を前に、ビールを飲みながら夕飯を済ませる。

この部屋も、いつも二人並んで料理をしたキッチンも、一人になった今は、やけに広い。

まだ志信のいない毎日に慣れる事ができないでいる。

特別な事はなくても、志信がいてくれるだけで幸せだった。

だけど今は、心にポッカリと大きな穴が空いたようで、何をしていても虚しい。

“誰よりも一生懸命仕事をしてる薫が好き”と志信が言ってくれたから、毎日仕事を頑張れた。

時々、何をするのも億劫で、仕事を辞めてしまおうかと思う事もある。

だけど志信を失った今、自分から仕事を取って何が残るだろう?

何もかもなくしてしまったら、もう自分が生きている意味さえわからない。



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