ずっと、君に恋していいですか?
一ヶ月後、薫は31歳の誕生日を迎えた。

これと言って特に予定もなく、いつものように仕事を終えると、スーパーで夕飯の材料とちょっと贅沢な高いビールを買った。

一人分の料理とビールで夕飯を済ませ、誕生日はいつもと同じように終わった。

もう二度と恋愛なんてしないと思っていた去年の誕生日も、確か同じように終わったなと、薫は苦笑いを浮かべる。

この先もきっと、誕生日は毎年こんなふうに過ごすのだろう。

一番そばにいて欲しい人がいない誕生日なんて、単なる1年の365分の1日に過ぎない。


志信はどんな思いで、誕生日に一人で旅立ったのだろう?

誕生日を祝ってあげるどころか、その日が志信にとって大事な日であることさえ忘れ、なんの答えも出せなかった。

今更ながら自分が許せない。

別れてから3ヶ月が過ぎた今も、志信の事を思い出さない日はない。

一人になると、志信と交わした会話やほんの些細な事を思い出して、涙が溢れる。

志信の事を想い出と呼ぶには、あと何年くらい泣き明かせばいいのだろう?




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