ずっと、君に恋していいですか?
その日志信は、朝からもう何度もスマホを手にしては置き、また手にしては置く事をくりかえしていた。

仕事が終わって自宅に戻っても、それを何度となくくりかえした。

今日は薫の誕生日だ。

思いきって電話をしてみようか。

自分から一方的に別れを告げておいて、何事もなかったかのように誕生日おめでとう、などと電話をするのは虫が良すぎる。

今でも好きだと言えば、薫はなんと答えるのだろう?

今更だと言われるだろうか。

付き合っていた頃のように、“私も好き”と言って笑ってくれるだろうか?

それとも、“なんの用?”と冷たくあしらわれるのだろうか?

“他の人と付き合ってるから”と言われるのかも知れない。

薫があの時何を言おうとしていたのか、今はどうしているのか、何もかも確かめる勇気がなくて、志信は手にしていたスマホをテーブルの上に置いた。

(もう忘れた方がいいのかな…。そうすれば、今よりきっと、ラクになれるはず…。)






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