ずっと、君に恋していいですか?
「失礼にもほどがあるでしょ!!」

「失礼なのはどっちよ。お見合いなんてしないって言ったのに、勝手にセッティングして、内緒で呼び出すなんて。」

「だって言ったらアンタ来ないでしょ?静間さんがどうしても会いたいって言うから。」

「どうしてもって…。とにかく、次はもうないと思うから。次からはこういう事、やめてよね。」

店の前で母親と軽く口論をした後、薫は自宅に帰った。

世間で言うお見合いほどの大層なものでもなかったが、やはり今は、志信以外の人の事は考えられない。

何をしていても、相手の仕草や話し方に、志信とはここが違う、志信ならきっとこう言うだろうと、その人が志信ではない事に胸が痛む。

どんなに探してもそこにはいないのに、二人で行った場所を通りかかるたび志信の姿を探してしまう。

もしかしたら仕事の後、喫煙室の前で待っているかもとか、自宅のドアを開けたらそこにいるかもとか、ありもしない事ばかり期待して、もうここに志信はいないのだという現実を突きつけられる。

(ここにいるはずないのに…もう会えないのに…バカだな、私…。)





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