ずっと、君に恋していいですか?
翌週月曜日の朝。

薫が出社してSS部のオフィスでパソコンを立ち上げていると、梨花が薫の前にひょっこりと顔を突き出した。

「うわっ!」

薫は驚いてのけぞる。

「おはようございます、卯月さん。」

「お…おはよう…。何?」

「金曜日のあの人…誰ですか?」

「え?」

梨花はじっとりとした目で薫を見ている。

「居酒屋で一緒にいた人です。」

「…見てたの?」

「偶然、奥の席に居合わせたんです。」

「そう…。」

社内の人たちの目を避けて選んだはずの店に、まさか梨花がいるとは思わなかった。

「大人の雰囲気漂うイケメンでしたね…。」

「ん?ああ、そうだね。」

「もしかして…新しい彼氏ですか?」

「えっ…。」

(ああもう…。めんどくさいなぁ…。)

薫は梨花の視線から逃れるようにパソコン画面に向かった。

「否定しないという事は、そういう事なんですね。」

「いや…違うよ、彼氏とかそういうんじゃなくて…。」

「じゃあ、どういう関係なんですか?」

どうして梨花に問い詰められているのかよくわからないが、とりあえずいつまでも聞かれるのは面倒だ。

薫はいつも、梨花には敵わない。

「正月にね…母親と叔母にお見合いすすめられて…。」

薫がボソボソとそう言うと、梨花は驚いて思わず声をあげる。

「おっ、お見合い?!」

「シーッ!!声が大きい!!」

薫は人差し指を唇の前に立てて、梨花をたしなめる。



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