ずっと、君に恋していいですか?
いつも飄々とした石田に、実は強い結婚願望があった事を意外に思いながら、志信はジョッキを傾けた。

「まぁ、石田さんはいい歳だもんな。32だっけ?」

「そう。」

「でも長野さんはまだ26でしょ?」

「ちょうどいい年頃だろ?本人もそれで納得してるし。」

志信はみんなの話を聞きながら、自分と薫はどうなのだろうと考える。

(オレはまだ29だけど薫はもう30だもんな。やっぱ早く結婚したいとか思うのかな…。)

毎日仕事が終わると薫の部屋で薫の作った夕飯を一緒に食べて、自分の部屋に帰る。

週末はどちらかの家で日曜の夜まで一緒に過ごす。

本当は一緒に暮らしたいと思うものの、まだそれを薫に話した事はない。

(結婚とまではいかなくても、同棲とか…したいんだけどな…。)

志信が黙って考え込んでいると、石田が志信の肩を叩いた。

「笠松、どうした?もしかして卯月さんの事考えてるのか?」

「いや、まぁ…。」

ボソボソと小声で答える志信に、前川と三井がため息をついた。

「卯月さんは難しそうだな。」

「僕もそう思います。」

「なんで?」

「だってなぁ…。」

「ねぇ…。」

< 16 / 187 >

この作品をシェア

pagetop