ずっと、君に恋していいですか?
翌週金曜日。

志信は出張で久しぶりに本社を訪れた。

翌日から盆休みに入るので、半年ぶりに実家に帰ろうと思っている。

本社の会議室で全SS部の会議が開かれ、福岡支社のSS部からは部長と志信を含めた各課の主任が出席した。

本社のSS部からの出席者は部長と各課の課長だけで、薫の姿はなかった。


午前の会議を終えると、久しぶりに石田たちと社員食堂で昼食を取った。

やはり薫の姿はここにもなかった。

もし薫に会えたら、どんな顔をして何を話せばいいのだろうと思っていたが、梨花の話によると、薫は今日、担当している郊外のSSのキャンペーンの手伝いに行っているらしい。

「笠松、福岡に行って主任になったんだな。」

「一応…。」

「出世したな!」

お互いの近況や福岡での仕事の事を話しながら食事をして、喫煙室に向かった。

喫煙室に入りタバコに火をつけると、石田は志信の耳元で尋ねる。

「笠松、福岡で彼女できたか?」

「いや…。」

「まだ未練があるか?」

志信は何も言わず、タバコに口をつけた。

「お見合いしたんだってさ。」

「え?」

「最近、その相手と一緒に飲みに行ったりしてるみたいだ。よく見掛ける。」



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