ずっと、君に恋していいですか?
志信は薫のマンションに着くと、息を切らしながらチャイムを鳴らした。

いくら鳴らしても、薫は出てこない。

(まだ帰ってないのか…。)

志信はドアの前で、通路の壁に寄り掛かって薫の帰りを待つ。

マンションの前の道路を眺めながら、今も変わらない薫への気持ちを、今度こそ素直に伝えようと決心した。

薫の気持ちは薫にしかわからない。

今はもう、薫の気持ちは変わってしまったかも知れない。

あの時勇気がなくて聞けなかった薫の言葉を、おそれずに受け止めようと志信は思った。





薫がSSでの仕事を終えて本社に戻ると、SS部のオフィスでは青木部長が待っていた。

「お疲れさん。キャンペーン、大盛況だったみたいだね。」

「お疲れ様です。」

薫がパソコンに向かって業務日報を入力していると、青木部長は薫にコーヒーを差し出した。

「君はホントによくやってくれるね。」

「どうも…。」

「私はね…彼が福岡に転勤になった時、君も一緒に行くんだと思ってたよ。」

「…知ってたんですか…。」

「見ればわかるよ。」

薫はばつの悪そうな顔をしてコーヒーを一口飲んだ。




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