ずっと、君に恋していいですか?
「薫は?あの人とお見合いしたんだろ?」

「あれは…お母さんが勝手に…。」

「勝手に?」

「そう。私はお母さんに呼び出されて、お見合いって知らずに約束した店に行ったの。そしたらお見合いだった。」

志信は薫が進んでお見合いしたのではないと知って少しホッとしたものの、頻繁に二人で会っていたと石田から聞いていたので、もしかしたら薫はお見合い相手と付き合っていたのかもと思う。

「でも…その後も二人で会ってたんだろ?」

「仕事終わって会社出たら待ってるんだもん。会いたいならそうしろって、お母さんに言われたんだって。気の毒で無下に追い返せないから何回か二人で居酒屋に行った。」

「薫はさ…あの人の事、好きだったの?」

「確かにいい人だとは思ったよ。お母さんには結婚しろとも言われたし、あの人にも結婚してくれって言われたけど…志信以外の人とは考えられなかったから、断った。」

「そっか…。」

(悔しいな…。お見合い相手にも先越されたなんて…。)

志信は薫の髪を撫でて、優しくキスをした。

「薫は誰にも渡さない。もう絶対離さないから。」

「うん。私も離れないし、離さない。」

二人は額を寄せ合って笑った。



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