ずっと、君に恋していいですか?
異例の若さで役職に就き、上層部からもその仕事ぶりを認められている薫に比べて、なんの役職にも就いていない同期の志信とでは、社内格差が大きい。

“会社の役職や肩書きなんかで人を好きになったりしない”と薫は言っていたけれど、志信にとってそれは、大きな問題でもあるしコンプレックスでもある。

薫より上か、せめて同じ役職に就けたら…とは思っても、なかなか簡単に思い通りになる事ではない。

(今のままじゃ情けないよなぁ…。同期って言ったって、同じ歳でいられるのなんかたったの3ヶ月だぞ?)

歳は関係ないのかも知れないが、そんな些細な事でさえ、いつまで経っても何もかもが薫には敵わない気がしてしまう。

(オレ…いつになったら薫にプロポーズできるんだろ…。)


付き合い出してまだ間もない頃に、いつかその時が来たら自分の口から言うから待ってて、と薫に言った。

薫には特別な男がいるのだとわかるようにと、指輪を贈った。

SSで接客をする時は指輪を外さなくてはいけないので、なくしたら困るから今はまだいい、と薫は断ったのに、それでも薫を誰にも取られたくなくて、なかば強引に贈った指輪を、薫はいつもつけてくれている。


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