ずっと、君に恋していいですか?
チーフというのは単なる呼び名で、役職としては主任のカウンセラーをまとめているリーダーみたいなものだとありさは言った。

「じゃあ…卯月さんはカウンセラーだから、役職は主任なの?」

美咲が食後のコーヒーを飲みながら尋ねた。

「そこなんだけどね…。私も知らなかったんだけど、卯月さんって管理課だけじゃなくて販促課とSS課にも在籍してるらしい。」

「えぇっ?」

「普通に考えて、そんな事できるのか?!」

「卯月さんは入社3年目でカウンセラーになったんですよね?でも最初に声が掛かった時は、好きな仕事をもっとしたいから現場を離れたくないって、一度は断ったそうです。」

それでもどうしてもカウンセラーとしてSS部に引き抜きたかった青木部長が、担当SSで現場の仕事をしながらカウンセラーとしてスタッフのケアをし、後輩たちの指導をしたらどうかと提案をしたのだという。

カウンセラーとしてSS管理課に籍を置き、更にSS課にも在籍している事で資格を活かした現場の仕事ができる。

「だから資格手当てと現場手当てが付くんだな…。」

前川が納得した様子でうなずいた。

「卯月さんって入社前に郊外のSSで7年もバイトして、バイトリーダーもやってたんでしょ?カウンセラーやってるうちにマネージャーに経験上のアドバイスをしたり、相談受けたりするようになって、その度に販促課に話をしてたみたいなんだけど…いっそのこと卯月さんを販促課にも在籍させちゃおうってなったらしい。」

「マジか…!!」

「有り得ねぇ…。」

あまりにも常人離れした薫の位置付けに、みんなは口をポカンと開けている。

「で…3つの課に在籍しているのはわかったけど…結局、卯月さんの役職ってなんなの?SSの主任?」

首をかしげて尋ねる志信の顔を見ながら、ありさはコーヒーを飲み干した。

「SS部の部長補佐です。」



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