ずっと、君に恋していいですか?
伝えるべき事を伝えると、颯爽とオフィスを後にする薫の後ろ姿を見ながら、マネージャーと女性スタッフたちはため息をついた。

「相変わらずだなぁ、卯月くんは。」

「仕事ができすぎるってホントなんですね。」

「かっこいいなぁ…。私も卯月さんみたいにカウンセラーになりたい。」

女性スタッフの一人がハガキに宛名シールを貼りながら呟くと、もう一人の女性スタッフが首をかしげた。

「でも卯月さんは特別でしょ?」

「そうなんですか?」

「卯月さんはSSでスタッフと一緒に作業したり、キャンペーンの手伝いまでしてくれるけど…カウンセラーって、ホントはスタッフのケアをするのが仕事なんですよね、マネージャー?」

マネージャーはパソコン画面から視線を外す事なく答える。

「うん?ああ、そうだね。スタッフと個別に面談したり、仕事の事で悩んでるスタッフの相談に乗ったりもするね。」

「卯月さん、お盆と年末年始はSAのヘルプに行ったりもしてるんでしょ?お盆に加賀美SAのスタッフが集団食中毒になった時は、マネージャー代理やってたって。」

「へぇ…。卯月さんってすごい人なんですねぇ…。」

「会社の先輩としてはホントにすごいけど…卯月さん、もう30でしょ?このままいくと婚期逃しそう。彼氏とか…いるのかな?」

「どうですかねぇ…。卯月さんって、仕事中はプライベートな話はしないから、全然私生活が見えないです。」

おしゃべりに夢中になって手が止まっている女性スタッフたちを、マネージャーはやんわりとたしなめる。

「こらこら、卯月くんの婚期の心配する前に、手を動かしなさい。」

「はーい、すみません。」




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