ずっと、君に恋していいですか?
「ごめんな。ちょっと落ち込んでて…薫に八つ当たりなんかして。ホントごめん。」

一体何があったのだろうと思ったが、薫はあえてその理由を聞かなかった。

「そうなの?じゃあ明日は…今日の分まで優しくしてくれる?」

「うん。目一杯優しくする。」

「それなら私も安心して眠れる。」

二人とも少し笑った。

お互いに、相手が笑う声を聞けた事で不安が和らぐ。

「じゃあ…また明日。」

「うん、また明日ね。おやすみ。」

「おやすみ。」



電話を切って、志信は大きく息をついた。

前に同じような事があった時は、意地を張って自分から素直に謝る事ができなかった。

でも今回は、もう前のようにこじれてお互いにつらい思いをしたくなくて、思いきって自分から謝った。

ほんの少しではあるけれど、以前よりも成長したような気がする。

(良かった…。薫、ずっと好きだって言ってくれた…。)

薫の声が、ほんの少し涙声だった。

もしかしたら泣いていたのかもと思いながら、志信はタバコに火をつけた。

(オレ、まだまだダメだな…。もっとしっかりしないと…。)

仕事の面で薫を追い越す事は容易ではないけれど、男として薫を守りたいと志信は思う。

(薫を幸せにするって、約束したんだから。)



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