ずっと、君に恋していいですか?
志信はその日の仕事が終わると、まっすぐ家に帰って何をするでもなくぼんやりとベッドに横たわっていた。

(遅くなるって、一体何時くらいになるんだろう…。)

いつもなら金曜日のこの時間は、薫と二人で食事の支度をしたり、時には居酒屋に行ってビールを飲んだりしている。

(オレって…薫がいないとなんにもなくなるんだな…。)

薫がいないと、自分がまるでからっぽになってしまったような気がする。

(大袈裟か…。仕事が終われば会えるんだし…。)

薫の仕事が終われば会えると頭ではわかっているのに、ただ薫を待っているだけの時間はやけに静かで寂しい。

志信はノロノロと起き上がってタバコに火をつけた。

吐き出した煙を目で追いながら、明日と明後日は一人で何をして過ごせば良いのかと考える。

(明日は買い物にでも行こうかな…。)

明日は薫の欲しがっていた`アナスタシア´のルームウェアを買いに行く事にした。

(明後日は…?)

一人で映画でも観に行こうかとか、それとも部屋でゲームでもしていようかとか、あれこれ考えを巡らせた。

だけどきっと一人では何をしても楽しくないだろうなと志信は思う。

(オレは薫と一緒にいられるだけでいいんだけどな…。)



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