ずっと、君に恋していいですか?
言葉少なく薫をマンションまで送り届けて自宅に戻った志信は、冷蔵庫から取り出した缶ビールを勢いよく煽った。

「あーあ…。」

思わずそう呟いて、ため息をつく。

(ホントは泊まってけって言いたかったんだけどな…。)

帰り道で志信が明日の事を尋ねると、明日の朝は6時半前に家を出て、帰るのは夜の11時頃になるかも、と薫は言っていた。

郊外のSSは営業時間が長い。

山手通りSSの営業時間は、朝7時から夜10時までらしい。

(土日の2日間、開店から閉店まで仕事するとか言われたら、夜に会おうとか言えないじゃん…。)

たった2日間の事なのに、薫に会えないと思うと寂しい。

ほんの少しの時間でも会えたらとは思うが、自分のわがままで薫に無理をさせたくはない。

歩いてほんの15分ほどの距離がもどかしい。

(やっぱり一緒に暮らしたいな…。)




結局、土日の二日間は会えなかった。

土曜日、志信は一人で会社の近くのショッピングモールに出掛けて、薫の欲しがっていた`アナスタシア´のルームウェアを買った。

他にも何か買うものはないかとブラついてみたものの、これと言って特に買いたい物も見つからなかったので、スーパーで夕飯用の惣菜を一人分だけ買って家に帰った。

日曜日は何もする気力がなくて、一日中一歩も部屋から出ないでダラダラして過ごした。

自分がこうしている間も薫は仕事をしているんだなとか、薫と付き合う前の休日はどうしていたっけなどと思いながら、ぼんやりしている間に、あっという間に週末は終わった。





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