ずっと、君に恋していいですか?
週が明けても、薫は山手通りSSのヘルプに入っていた。

あれからまた新たなインフルエンザ感染者が一人増えた。

インフルエンザは熱が下がった後も感染する恐れがあるので、今週中は出勤できないというスタッフが4人もいる。

まさかの事態に、薫は今週も山手通りSSのヘルプに入らざるを得ない。

開店作業は社員スタッフに任せ、薫は少し遅めの10時に出社して、人手の足りない夜のスタッフの穴埋めのために閉店まで仕事をする。

他の社員も残業をして補う事もできるのだが、薫は社員のシフトをできるだけ大幅に変えないように、自分が勤務する事で、欠勤しているアルバイトスタッフの穴埋めをした。


週末に近付いてくると、休んでいたアルバイトスタッフが回復して次第に復帰し始めたので、日曜日はようやく山手通りSSのスタッフだけでなんとかなると判断して、薫は久しぶりに休むことにした。



土曜日のお昼過ぎ。

ベッドの上でゴロゴロしていた志信はトーク通知音に気付き、ノロノロと手を伸ばしてスマホを掴み、トーク画面を開いた。


【明日は休めるよ。
今日は夕方の客足が落ち着いた頃に帰るね。】


志信は薫からのメッセージを見た途端、勢いよく起き上がった。

(やった…!やっと会える…!!)

あれからずっと会えなかったけれど、ようやく薫に会える。

志信は嬉しくて、上機嫌で顔を洗って洋服に着替えた。

夜まではまだまだ時間がある。

早く薫に会いたい。

久しぶりに薫を思いきり抱きしめたい。

志信は何度も何度も時計を見ながら待ちきれない思いで薫を待った。



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