ずっと、君に恋していいですか?
その頃志信は、本社販売事業部のオフィスでパソコンに向かい、チラチラと時計を見ながらSSの販売実績のデータを入力をしていた。

時計の針が12時を指すと同時に、志信はイスから立ち上がって大きく伸びをした。

「さて、行くか。」

志信の声に反応したように、周りの社員たちも時計を見て動き始める。

「やっと昼だな。」

隣の席に座っている先輩の石田 和成(イシダ カズナリ)も、ゆっくりとイスから立ち上がる。

「石田さん、オレ今日は社食に直行で。」

「タバコはいいのか?」

「今日はね。」

いつもなら昼休みになると、まず喫煙室に行ってタバコを吸うのにおかしいなと思いながら、石田は軽く首をかしげた。

「ああ、そういうことか。」

「そういうこと。じゃ、また後で。」

嬉しそうにいそいそと部署を出る志信の後ろ姿を見ながら、石田はニヤニヤしている。

「石田さん、笠松どうかした?」

石田の後ろの席に座っている先輩の前川 亮太(マエカワ リョウタ)が不思議そうに尋ねると、その隣で後輩の三井 雅司(ミツイ マサシ)も振り返る。

「あれ?笠松さん、もう行っちゃったんですか?」

「あれだよ。今日は午後から販促会議があるだろ?」

「ありますね。」

「笠松の仕事のできすぎる“かわいい彼女”が珍しく社食で昼飯食うわけだ。」

「ああ…なるほど、そういうことか。」

「道理で急いで行くわけですね。」

前川と三井も笑いながら立ち上がった。

「オレらも行くか。」

「行こう行こう、腹減った。」

「今日は何食べようかなぁ…。」



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