ずっと、君に恋していいですか?
ビールのおかわりを頼み、タバコに火をつけた時、店の戸がガラガラと音をたてて開いた。

「こんばんは。」

「あら!渚ちゃんじゃない。いらっしゃい。久しぶりね。」

志信はなんとなく入り口に目を向けた。

(あれ…?)

見覚えのある顔と、渚という聞き覚えのある名前。

渚という女性は、カウンター席に一人で座っている志信の顔を見た途端、驚いて目を大きく見開いた。

「あれ?もしかして志信くん?」

「ああ…うん、やっぱりそうか。」

「久しぶり。元気だった?」

渚は志信の隣に座ってビールと揚げ出し豆腐を注文した。

「まあまあかな。でもどうしてここに?確か福岡支社に転勤になったんじゃなかったっけ?」

「そうだよ。昨日、友達の結婚式でこっちに来てた。この店は本社にいる時によく来てたからね、久しぶりに女将さんに会いたくて。志信くんちはこの近くなの?」

「すぐ近所。今は本社の販売事業部にいる。」

「そうなんだね。」

志信と渚は軽く乾杯をして、ジョッキを傾けビールを飲んだ。

「何年ぶりだっけ?」

「鵜川橋SSにいた時だから…6年?7年?」

「もうそんなになるんだな。」


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