ずっと、君に恋していいですか?
社用車で本社に戻った薫は、更衣室でオフィス用の制服に着替えると、急いで社員食堂に向かった。

(良かった…。思ったより早く戻れた…。)

社員食堂の前で待っていた志信が、制服姿の薫を見つけて嬉しそうに微笑む。

「お疲れ。ハイ、食券。」

「ありがとう。」

「会社で一緒に昼飯食うの、ひさしぶりだ。」

「そうだね。」

二人で列の最後尾にトレイを持って並び、空いている席はないかと見渡していると、SS部の後輩の長野 梨花(ナガノ リンカ)が手を振った。

梨花の隣の席には石田の姿がある。

少し離れた場所では、前川と三井、そしてSS部の後輩の戸部 ありさ(トベ アリサ)と篠塚 美咲(シノヅカ ミサキ)が4人で楽しそうに食事をしている。

梨花は自分と石田の向かいの席を指差した。

「あ…長野さんが席取ってくれてるみたい。」

「良かった。」

薫と志信はカウンターで料理を受け取ると、梨花が取ってくれていた席についた。

「卯月さん、お帰りなさい。今日は寒かったでしょう。」

「んー…そうでもない。上着もあるし。真冬はもっと寒いからね。」

薫は事も無げにそう言って、箸立てから取った箸を志信に手渡した。

志信は箸を受け取ると、自分のおかずの乗った皿から鯖の竜田揚げを一切れつまみ上げて、薫の皿に乗せた。

「ん。」

「ありがと。ハイ。」

今度は薫が自分の皿からつまみ上げた唐揚げを志信のおかずの皿に乗せる。

「ん、ありがと。」

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