ずっと、君に恋していいですか?
「電話、出なくて良かったの?」

「ああ、うん。」

(さっきあんな話をしたとこなのに、目の前で彼女からの電話に出るのもなんかな…。)

しばらくすると、渚が立ち止まり、真剣な顔で志信を見上げた。

「志信くん。」

「ん?」

「あの時、転勤とかなかったら、私たちずっと一緒にいられたかな?」

「え?」

「大人になった今なら、離れててもあの頃よりうまくいくかな?」

どう答えていいかわからず、立ち尽くして黙り込んでいる志信の手を、渚がそっと握る。

「もう一度、志信くんと付き合いたい…。志信くんとやり直せたらなって、何度も思ってた。あれから志信くん以上に好きになった人、いないから。」

志信はギュッと口を結び、渚の手をそっとほどいた。

「ごめん、それはできない。オレには大事な人がいる。」

「……一緒にいて不安になるくらい?」

「…うん。」

「…そう…。」

渚は志信の手から荷物を取り、少し寂しげに笑った。

「ごめん、今の忘れて。ここまででいいよ。そこの通りでタクシー拾って、そのまま空港まで行くから。」

「そうか…。気を付けてな。」

「うん、ありがとう。元気でね。」

「渚も元気でな。」


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