ずっと、君に恋していいですか?
渚は数歩進んだところで踵を返し、志信のそばに駆け寄って、荷物から手を離した。

志信は驚いて、ドサリと音をたてて地面に落ちる荷物を見ている。

その瞬間、渚は志信の両腕を掴み、背伸びをして志信の唇にキスをした。

(えっ…?!)

あまりにも突然の出来事に、志信は驚いて目を見開いた。

渚は志信の腕から手を離し、ゆっくりと荷物を拾い上げた。

「ホントに…ホントに志信くんの事、好きだったんだからね。」

渚は声を絞り出すようにそう呟くと、志信に背を向けて足早にその場を後にした。

(なんだ、今の…?)

まだ渚の唇の感触が残る唇を指で押さえて、志信は呆然と立ち尽くす。

(ビックリした…。とりあえず帰ろう…。あ、そうだ…薫に電話…。)

志信はポケットからスマホを取り出して、来た道を戻りながら薫に電話をかけた。

呼び出し音が流れると同時に、どこかから着信音が聞こえた。

(え?)

顔を上げると、道の向こうで立ち尽くしている薫の姿が見えた。

「あ…薫…。」

(えっ、もしかして…今の…。)



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