ずっと、君に恋していいですか?
薫の部屋に着くと志信は、とりあえず体の冷えた薫のために温かいコーヒーを入れた。

薫はまだ涙目のままうつむき、差し出されたコーヒーを黙って飲んでいる。

(これって、ヤキモチなのかなぁ…。)

薫の様子を窺いながら、志信も向かいに座ってコーヒーを飲んだ。

しばらくすると、志信はカップをテーブルに置いて、今日あった出来事を話し始めた。


疲れてぐっすり眠っている薫を起こすのが忍びなくて、コンビニで買ってきた物を食べたり、スマホで時間を潰したりしながら目が覚めるまで待とうと思ったが、起きる気配がなかったので薫の部屋を出た事。

帰り道で前から気になっていた小料理屋に立ち寄った事。

そこで偶然、友人の結婚式でこちらに来ていた渚に会った事。

新入社員の頃に渚と付き合っていた事。

渚の本社への転勤がきっかけで次第に会う回数が減り、ほどなくして別れた事。

その後渚は福岡支社に転勤した事。

博多に戻るため空港に行く渚を駅まで送ろうとしたら、もう一度付き合いたいと言われたが断った事。

そして、振り向き様に突然キスされた事。



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