ずっと、君に恋していいですか?
志信はコートを脱いで、薫の隣に横になった。

「志信…ギューッてして。」

「うん?どうしたの、今日は。ずいぶん甘えん坊なんだな。」

「…甘えたらダメ?いい歳して恥ずかしいかな…。」

「ダメじゃない。めちゃくちゃ嬉しい。もっと甘えていいよ。」

志信が抱きしめると、薫は嬉しそうに微笑んだ。

「あったかい…。志信にこうしてもらうと、安心する…。」

「いくらでもしてやる。だから、安心して休みな。」

「うん。」

志信の腕の中で、薫は幸せそうにうなずいた。


しばらくすると、薫はスヤスヤと寝息をたて始めた。

志信は薫の髪を撫でながら、愛しそうに寝顔を見つめる。

(相当弱ってたのかな…。薫があんなに甘えたの、初めてだ…。)

涙をこぼしながら、ずっと会いたかった、一緒にいてと薫は言った。

珍しく子供のように甘える薫はとてもかわいくて、愛しくてたまらなかった。

抱きしめると、“安心する”と言ってくれた。

少しは薫から必要とされているのだと思うと、素直に嬉しい。

「薫…愛してる…。」

志信は眠っている薫の唇にそっとキスをして、静かにベッドから下りると、もらったばかりの合鍵で玄関のドアの鍵を閉めて、薫の部屋を後にした。



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