ずっと、君に恋していいですか?
クリスマスイブ。

街は華やかな装飾で溢れ、どこに行っても浮かれ気分のカップルや楽しそうな家族連れで賑わっている。

定時で仕事を終えた志信は、スーパーに寄ってメモを見ながらたくさんの食材を買った。

薫は今日も朝早くから仕事に出掛けている。

帰りは何時になるかわからないが、志信はせめて疲れて帰ってくる薫のために何かしてあげられないかと考え、料理を作る事にした。

最近は本など買わなくても、インターネットでなんでも調べられるから便利だ。

特別料理ができるわけではないが、いつも薫と一緒に夕飯の支度をしていたので、以前より少しはできるようにもなった。

志信は野菜をたっぷり入れたトマトスープと、チキンソテーを作る事にした。

ケーキも、あまり甘すぎない大人好みの味だと評判の店で、小さなものを買った。

世間のカップルのように手放しでクリスマスを楽しむ事はできなくても、少しでも薫が喜んでくれたらいいなと志信は思った。


志信は合鍵を使って薫の部屋に入り、ケーキを冷蔵庫にしまって早速キッチンに立つ。

冷蔵庫にはほとんど何も入っていなかった。

薫は仕事の後も料理をしていたので、いつもなら冷蔵庫にあるもので何かしら料理ができるくらいの食材が入っていたのに、今は買い物さえままならないほど忙しいのだろう。

牛乳やミネラルウォーター、ビールなどの飲み物が少しは入っているところを見ると、もしかしたら食材を買っても料理をする余裕がないので、買わないのかも知れない。



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