君はオレを好きになる。
恋人
人生初の恋人が出来ました。
お父さん、お母さん、おばあちゃん…私、幸せだからね。
向日葵は仕事に行った瑛斗を玄関で見送り、心の中で3人に話しかけた。
向日葵はリビングに行くとテレビを付けた。
朝から沢山の情報番組が流れている。
向日葵はテレビを付けたまま掃除を始めた。
【あのイケメン若手俳優に恋人!?】
番組の端文字に向日葵は釘つけになった。
へぇイケメン俳優かぁ…ドラマとか見ないからなぁ。
「あの人気の俳優、桐生 瑛斗さんに女優のアキさんとの熱愛報道が出たんです!」
テレビの中の女性が言った名前に向日葵は掃除機を止めた。
「瑛斗さん…?」
振り返りテレビを見ると、そこに瑛斗が映し出されていた。
呆然としていると家の電話が鳴った。
ディスプレイに瑛斗の文字が出て、向日葵は受話器を取った。
「向日葵?俺だけど…その…。」
「今テレビ見ました。瑛斗さんってテレビ人だったんですね。」
声のトーン低く出会った時の様な冷たい声。
「うん…そうなんだけど、報道されてるのデマだから!俺、本気でちゃんと向日葵が好きだから。俺を信じて。」
「…わかりました。瑛斗さんの事信じてます。」
「じゃ仕事戻るわ。」
そう言って瑛斗は急いでたのか、一方的に電話を切った。
向日葵は受話器を置いた。
テレビはCMになっていた。
「この香りで幸せにしてやる。」
また瑛斗が映っている。
「君は俺を好きになる。」
テレビの瑛斗が言った言葉に向日葵は固まった。
そのCMは香水のCMで、瑛斗が言ったセリフは向日葵に言った言葉だった。
信じるって決めたけど、信じるって言ったけど、あの言葉はこのセリフだったんだと思うと辛くなった。
瑛斗を失うということは一人になるということ。
もし恋人にならなかったら、こんな事が起きても気持ち押し殺せば、何も問題なくいる事は出来た。
でも、私好きって言っちゃった。
もう引き下がれない。
あの言葉が、このセリフでもなんでもいい。
私だけに言ってくれたという真実は変わらない。
私がどう受け止めるかだけ。
向日葵はテレビを消すと掃除機のスイッチを入れた。
掃除機の音が響きわたる、この部屋は小さな部屋に引きこもっていた私には広すぎる。
頭では強がってみても、心が淋しいと言ってる。
モヤモヤがどんどん広がる。
テレビの女性の声と瑛斗さんの声がグルグルと交互に頭の中で渦巻く。
アキって、どんな人なんだろう…。
何もないのに熱愛報道って出るんだろうか?
何かあるから出るんじゃないの?
「あぁもう、やだ!!」
向日葵は掃除機を片付けると、リビングのソファーに座りテレビを付けた。
チャンネルを替えては瑛斗の情報を探した。
リモコンを押す手を止めた。
「そのお相手は瑛斗くんの初出演したドラマで恋人役をつとめたアキさんなんですよ。」
「確かアキさんの方が年上でしたよね。」
「はい6歳年上なんです。」
「じゃ結婚も視野に入れてるかもしれませんよね?」
「まぁあってもおかしくないですよね。」
「きっかけは、そのドラマ?」
「って言われてますね。」
「じゃもう5・6年の付き合いってこと?」
「いつからお付き合いしたのかは、はっきりとまだ知られてないんですが、その頃からだとしたら長いですよね。」
「お互いの事務所は何て言ってんの?」
「それが双方まだコメントないんです。」
「へぇ世間というかファンは真実知りたいね。」
テレビを見ながら向日葵は、「私が一番知りたい!!」と思った。
直接聞けないで、テレビで情報を探すなんて…私、本当に瑛斗さんの恋人なんだろうか?
眠れないまま朝を迎えた。
昨日瑛斗からの連絡はあれっきりなく、帰って来ることもなかった。
向日葵は携帯を握り締めながら悩んだ。
電話をするべきか、しないべきか。
クヨクヨ悩んでる自分は、らしくない。
本来なら白黒はっきりさせるのが向日葵の性格だった。
恋というのは自分が自分じゃなくなってしまうの?
向日葵はディスプレイに瑛斗の番号を出した。
そして、消す。
その繰り返しもう、何回もしてる。
立ってはソワソワと家を歩き周り、決意してはソファーに座りディスプレイ映し出す。
外は朝日が昇り、静かな夜が終わり、生活の音が聞こえ出した。
向日葵は今度こそはと電話をかけた。
何度かのコールが鳴ると電話は留守番電話に繋がれメッセージが流れた。
向日葵は溜息を吐くと、電話を切った。
落胆する向日葵の耳に玄関から音が聞こえた。
リビング出る、瑛斗が玄関倒れている。
「瑛斗さん!!」
向日葵は駆け寄り瑛斗の体を起こした。
「あぁひまちゃん!!」
「ひま?ちゃん?」
「ごめん。俺今めちゃくちゃ眠い…。」
「こんなとこじゃ風邪引いちゃうから。」
向日葵は無理矢理に瑛斗を立たせると、ふらふらな瑛斗を自分の部屋に入れた。
自分の力で、瑛斗の寝室に連れて行くのは出来ないと思った。
「ここ…お前部屋…匂いだな。」
「何言ってんですか!?いいからここで寝て下さい。」
そう言って行こうとした向日葵の腕を瑛斗は引き寄せた。
不意に引っ張られ向日葵はバランスを崩し瑛斗の上に乗っかってしまった。
「ごめんなさいっ!」
向日葵は咄嗟に離れようとしたが、それを瑛斗が止めた。
「このままでいいよ。」
「でも、重いんじゃ…。」
「お前軽いよ。最初ここに運んだ時も、そう思ったもん。」
瑛斗の心臓の音が聞こえる。
自分の音より早いような気がした。
「俺…一ヶ月ぐらい仕事休みになった。」
「なんで?」
「う〜ん、なんか騒ぎ大きくて、ちょっと落ち着くまでって。」
「大丈夫ですか?」
「生活の方は何も心配しなくていいよ。ちゃんと貯金してるし…」
「そうじゃなくて、瑛斗さんの心がです。」
「あぁ大丈夫大丈夫。ありがとう。」
瑛斗は向日葵の頭をポンポンと撫でた。
「アキさんとは…?」
「………。」
向日葵は瑛斗から離れた。
「本当なんですね。」
瑛斗は慌てて起き上がり向日葵を掴んだ。
「俺の事嫌いにならないでくれる?」
「そんなの…ずるいです。聞かなきゃわかんない。」
「そうだよね…。」
瑛斗は一息吐くと話し始めた。
「アキとは恋人ってわけじゃなかったんだ。人を好きになるとか、一生貴方だけなのみたいなの俺には正直わかんなくて…母親に捨てられたってのもあるのかもしれないけど、イマイチ女って信じきれなくて、面倒くさくて特定の女って作らなかった。あっでも向日葵は違うから、なんて言うか今までと違うんだ。言葉にするの、ちょっと難しいんだけど…。」
「瑛斗さん、脱線してる。」
「あっごめん。で、アキなんだけど…6年前、俺が15の時初めて会って、その後19でまた会って、それから…。」
「それから?あっ…やっぱりいいです。言わないで。付き合っていないのに、言うのに躊躇うって、そうゆう事ですよね。」
「ごめん。でも今はもう会ってないから。」
「アキさんは瑛斗さんと同じように思っていたんですか?」
「えっ?いや、考えた事ないけど…。」
「もしアキさんは瑛斗さんと違って本気で瑛斗さんを想っていたとしたら、どうするんですか?」
「それは…そのちゃんと言うよ。俺には、お前が居るんだし。」
「今回の報道でアキさんとは話ししたんですか?」
「ううん。してない。今日マネージャーに呼ばれてから、今まで当面の仕事詰め込んだから、向日葵にも連絡出来ずにいたんだから。」
「じゃ今してください。私中途半端なの嫌いなんです。ちゃんと瑛斗が好きなのは私だって思いたいんです。」
我慢してきた不安がこぼれ落ちた。
「わかった。」
向日葵は部屋を出るとリビングのソファーに座った。
部屋の前で聞き耳立てようと思えば出来ただろが、向日葵は瑛斗を信じたかった。
お父さん、お母さん、おばあちゃん…私、幸せだからね。
向日葵は仕事に行った瑛斗を玄関で見送り、心の中で3人に話しかけた。
向日葵はリビングに行くとテレビを付けた。
朝から沢山の情報番組が流れている。
向日葵はテレビを付けたまま掃除を始めた。
【あのイケメン若手俳優に恋人!?】
番組の端文字に向日葵は釘つけになった。
へぇイケメン俳優かぁ…ドラマとか見ないからなぁ。
「あの人気の俳優、桐生 瑛斗さんに女優のアキさんとの熱愛報道が出たんです!」
テレビの中の女性が言った名前に向日葵は掃除機を止めた。
「瑛斗さん…?」
振り返りテレビを見ると、そこに瑛斗が映し出されていた。
呆然としていると家の電話が鳴った。
ディスプレイに瑛斗の文字が出て、向日葵は受話器を取った。
「向日葵?俺だけど…その…。」
「今テレビ見ました。瑛斗さんってテレビ人だったんですね。」
声のトーン低く出会った時の様な冷たい声。
「うん…そうなんだけど、報道されてるのデマだから!俺、本気でちゃんと向日葵が好きだから。俺を信じて。」
「…わかりました。瑛斗さんの事信じてます。」
「じゃ仕事戻るわ。」
そう言って瑛斗は急いでたのか、一方的に電話を切った。
向日葵は受話器を置いた。
テレビはCMになっていた。
「この香りで幸せにしてやる。」
また瑛斗が映っている。
「君は俺を好きになる。」
テレビの瑛斗が言った言葉に向日葵は固まった。
そのCMは香水のCMで、瑛斗が言ったセリフは向日葵に言った言葉だった。
信じるって決めたけど、信じるって言ったけど、あの言葉はこのセリフだったんだと思うと辛くなった。
瑛斗を失うということは一人になるということ。
もし恋人にならなかったら、こんな事が起きても気持ち押し殺せば、何も問題なくいる事は出来た。
でも、私好きって言っちゃった。
もう引き下がれない。
あの言葉が、このセリフでもなんでもいい。
私だけに言ってくれたという真実は変わらない。
私がどう受け止めるかだけ。
向日葵はテレビを消すと掃除機のスイッチを入れた。
掃除機の音が響きわたる、この部屋は小さな部屋に引きこもっていた私には広すぎる。
頭では強がってみても、心が淋しいと言ってる。
モヤモヤがどんどん広がる。
テレビの女性の声と瑛斗さんの声がグルグルと交互に頭の中で渦巻く。
アキって、どんな人なんだろう…。
何もないのに熱愛報道って出るんだろうか?
何かあるから出るんじゃないの?
「あぁもう、やだ!!」
向日葵は掃除機を片付けると、リビングのソファーに座りテレビを付けた。
チャンネルを替えては瑛斗の情報を探した。
リモコンを押す手を止めた。
「そのお相手は瑛斗くんの初出演したドラマで恋人役をつとめたアキさんなんですよ。」
「確かアキさんの方が年上でしたよね。」
「はい6歳年上なんです。」
「じゃ結婚も視野に入れてるかもしれませんよね?」
「まぁあってもおかしくないですよね。」
「きっかけは、そのドラマ?」
「って言われてますね。」
「じゃもう5・6年の付き合いってこと?」
「いつからお付き合いしたのかは、はっきりとまだ知られてないんですが、その頃からだとしたら長いですよね。」
「お互いの事務所は何て言ってんの?」
「それが双方まだコメントないんです。」
「へぇ世間というかファンは真実知りたいね。」
テレビを見ながら向日葵は、「私が一番知りたい!!」と思った。
直接聞けないで、テレビで情報を探すなんて…私、本当に瑛斗さんの恋人なんだろうか?
眠れないまま朝を迎えた。
昨日瑛斗からの連絡はあれっきりなく、帰って来ることもなかった。
向日葵は携帯を握り締めながら悩んだ。
電話をするべきか、しないべきか。
クヨクヨ悩んでる自分は、らしくない。
本来なら白黒はっきりさせるのが向日葵の性格だった。
恋というのは自分が自分じゃなくなってしまうの?
向日葵はディスプレイに瑛斗の番号を出した。
そして、消す。
その繰り返しもう、何回もしてる。
立ってはソワソワと家を歩き周り、決意してはソファーに座りディスプレイ映し出す。
外は朝日が昇り、静かな夜が終わり、生活の音が聞こえ出した。
向日葵は今度こそはと電話をかけた。
何度かのコールが鳴ると電話は留守番電話に繋がれメッセージが流れた。
向日葵は溜息を吐くと、電話を切った。
落胆する向日葵の耳に玄関から音が聞こえた。
リビング出る、瑛斗が玄関倒れている。
「瑛斗さん!!」
向日葵は駆け寄り瑛斗の体を起こした。
「あぁひまちゃん!!」
「ひま?ちゃん?」
「ごめん。俺今めちゃくちゃ眠い…。」
「こんなとこじゃ風邪引いちゃうから。」
向日葵は無理矢理に瑛斗を立たせると、ふらふらな瑛斗を自分の部屋に入れた。
自分の力で、瑛斗の寝室に連れて行くのは出来ないと思った。
「ここ…お前部屋…匂いだな。」
「何言ってんですか!?いいからここで寝て下さい。」
そう言って行こうとした向日葵の腕を瑛斗は引き寄せた。
不意に引っ張られ向日葵はバランスを崩し瑛斗の上に乗っかってしまった。
「ごめんなさいっ!」
向日葵は咄嗟に離れようとしたが、それを瑛斗が止めた。
「このままでいいよ。」
「でも、重いんじゃ…。」
「お前軽いよ。最初ここに運んだ時も、そう思ったもん。」
瑛斗の心臓の音が聞こえる。
自分の音より早いような気がした。
「俺…一ヶ月ぐらい仕事休みになった。」
「なんで?」
「う〜ん、なんか騒ぎ大きくて、ちょっと落ち着くまでって。」
「大丈夫ですか?」
「生活の方は何も心配しなくていいよ。ちゃんと貯金してるし…」
「そうじゃなくて、瑛斗さんの心がです。」
「あぁ大丈夫大丈夫。ありがとう。」
瑛斗は向日葵の頭をポンポンと撫でた。
「アキさんとは…?」
「………。」
向日葵は瑛斗から離れた。
「本当なんですね。」
瑛斗は慌てて起き上がり向日葵を掴んだ。
「俺の事嫌いにならないでくれる?」
「そんなの…ずるいです。聞かなきゃわかんない。」
「そうだよね…。」
瑛斗は一息吐くと話し始めた。
「アキとは恋人ってわけじゃなかったんだ。人を好きになるとか、一生貴方だけなのみたいなの俺には正直わかんなくて…母親に捨てられたってのもあるのかもしれないけど、イマイチ女って信じきれなくて、面倒くさくて特定の女って作らなかった。あっでも向日葵は違うから、なんて言うか今までと違うんだ。言葉にするの、ちょっと難しいんだけど…。」
「瑛斗さん、脱線してる。」
「あっごめん。で、アキなんだけど…6年前、俺が15の時初めて会って、その後19でまた会って、それから…。」
「それから?あっ…やっぱりいいです。言わないで。付き合っていないのに、言うのに躊躇うって、そうゆう事ですよね。」
「ごめん。でも今はもう会ってないから。」
「アキさんは瑛斗さんと同じように思っていたんですか?」
「えっ?いや、考えた事ないけど…。」
「もしアキさんは瑛斗さんと違って本気で瑛斗さんを想っていたとしたら、どうするんですか?」
「それは…そのちゃんと言うよ。俺には、お前が居るんだし。」
「今回の報道でアキさんとは話ししたんですか?」
「ううん。してない。今日マネージャーに呼ばれてから、今まで当面の仕事詰め込んだから、向日葵にも連絡出来ずにいたんだから。」
「じゃ今してください。私中途半端なの嫌いなんです。ちゃんと瑛斗が好きなのは私だって思いたいんです。」
我慢してきた不安がこぼれ落ちた。
「わかった。」
向日葵は部屋を出るとリビングのソファーに座った。
部屋の前で聞き耳立てようと思えば出来ただろが、向日葵は瑛斗を信じたかった。