君はオレを好きになる。
目が覚めると既に陽は落ち部屋は暗闇に包まれていた。

向日葵は携帯を取ると時間を見た。

21時35分。

12時間以上寝ていた自分にびっくりして急いでベットから出た。

部屋を出ると、リビングから光が漏れ音が聞こえた。

瑛斗は起きてるんだと、向日葵は急いでリビングに向かった。

リビングに入ると瑛斗はソファーに座りテレビを見ていた。

向日葵に気付いた瑛斗は振り返った。

「向日葵!おはよう。ってもう、9時だけど…。」

「何時に起きたんですか?起こしてくれたら、よかったのに…。」

「6時ぐらいかな…。そうしようと思って部屋に行ったんだけど、気持ち良さそうに寝てたから。」

「見たんですか?」

「うん、かわいい寝顔だったよ!」

「やだ…。」

「向日葵…俺…。」

瑛斗は向日葵に歩み寄ると向日葵の目をジッと見つめた。

「な…なんですか…。」

向日葵は後ずさりしたが、すぐに背中に壁が当たり止まった。

「我慢できないんだ。」

「何を…。」

今にも頭が爆発してしまうんじゃないかと思うほど顔が赤く熱くなる。

キスされるかも…。

「腹減った…。」

「へっ?」

とたんに瑛斗は堪え切れず爆笑した。

「なっ!?」

一層、向日葵の顔が赤くなった。

「何を期待してる?」

瑛斗は向日葵の顔の横に両手をついた。

左右止められ身動きが出来ない。

意地悪な顔…。

「別になにも…。」

向日葵は目線を逸らした。

「いや、期待してるだろ?!」

瑛斗は向日葵の顔を自分の方向に、引き戻した。

今にも吸い込まれそうな熱い視線を注がれる。

頭の芯が溶けそうになる。

「期待なんてしてないです!」

「素直に言えば、その期待叶えてあげるよ?」

「だから…期待なんて、してないです。」

「本当に?」

瑛斗は指で向日葵の顎を持ち上げた。

「っ…意地悪な言い方…。」

「こんなに優しいのに…?」

「意地悪です。」

向日葵は瑛斗の腕を押し退けて行こうとした。

その瞬間瑛斗に腕を掴まれ、瑛斗の腕の中に引き戻された。

「ごめん。俺がキスしたいだけなんだ。」

「瑛斗さん。」

「だから、キスしていい?」

向日葵は頷いた。

瑛斗は向日葵にキスをした。

優しいキス。

自分の頬に触れてる瑛斗さんの手が優しくて、今にも溶けてしまいそうになる。

優しいキスは、次第に激しくなり、息さえも絡みつく。

瑛斗の手が下に滑り降りて行く。

『嘘…胸!!胸触ってる!』

「あっ…きとさん……ちょっと、待って…。」

キスも首えと移動し始めた。

「やだ…待たない。我慢出来ないって言ったろ?!」

「それは…お腹…空いたん…。」

瑛斗の手はTシャツの中に滑り込んだ。

「瑛斗さん…!お願い、待って…。」

何度も交わすキスに目眩がする。

ついていけない現状に頭が爆発する。

遥か昔に追いつかなくなった経験は、未知の世界に入ってしまい理解しようと頑張っていた回路はショートし、とうとう向日葵は泣き出した。

「向日葵…?!」

無我夢中で愛する人を求めた瑛斗の理性はとっくの昔に、彼方に追いやられていたが、向日葵の泣き声であっさりUターンしてきた。

「ごっごめん!!」

瑛斗は弾かれた様に向日葵から離れた。

向日葵はすぐに乱れた服装正した。

「ごめん。ごめんなさい!!俺…。」

「いいです。」

「でも泣かすなんて俺…最低だ。」

「それだけ、私を好きってことでしょ?それとも、そうゆう事したいだけなんですか?」

上目遣いの涙目は、瑛斗に多大な影響を与えた。

「そんな事ない!向日葵だからしたいんだ!全部知りたくて…。」

「私も…私もいつかは瑛斗さんと…でも、待ってください。私、なにも経験ないんです…全部瑛斗さんが初めてで…。」

「わかった!待つから。俺、何年でも何十年でも待つから。」

「はい…。でも、何年もはないですから。」

向日葵は意地悪を返した。

今度は瑛斗が頭を抱えた。

「えっそれって年内ってこと?」

「さぁそれはわかんないです。さっ御飯作りますね。」

そう言って向日葵はキッチンに向かった。

「えぇ〜今度は向日葵が意地悪だぁ〜」

瑛斗はソファーになだれ込んだ。





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