流れ星スペシャル


「ありがとう」


そいつはなんだか、ふんわりとそう言った。


ム……。


「そのかわり、あんたを店長と認めるまで敬えへんからな」


そう宣言して、さっさと厨房へと向かう。


ハン、素人に構ってられるか。




「そんなに悪くないけどな、あの人」


昨夜の宴会で残されたジョッキを食洗機にかけながら、うるるんが話しかけてきた。


「ボクもキライじゃないですよ、あの店長」


大きなまな板の上で、青ネギを刻みながらユースケも言う。




「は? 店長って呼ぶなや。飲食の経験ゼロやねんで? それが店長になるとか、なんで断わらへんのか疑問やわ」


ムカつきながら、米を研いだ。


「迷惑すんのは、こっちやん」


「そー言うたりなや。サラリーマンやもん、断ったらクビなんちゃう? 干されたって言われてたし」


「そんな無能なやつ、要らんけどな、こっちかて」


この際ビシッと切り捨てておく。


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