流れ星スペシャル
「行こうと思ってるやろ」
「え?」
顔をあげると、同じく顔をあげた綾香さんと目が合った。
「流れ星」
と言われる。
う。
突然の辞令で夕方から流れ星に向かった桂木さんが気がかりだった。
帰りに立ち寄って、様子を見てこようと思っていたのが、あっさりバレていた。
たぶん綾香さんは、それを阻止しようと、残業を押しつけてきたんだと思う。
「えっと、ちょっと見てくるだけですよ。帰り道、自転車でスイ~と回り道するだけですし」
と、しらばっくれてみる。
「言うと思った」
「え」
「沢井絶対そう言うと思っててん」
「へへ」
「へへ、やないっ!」
「い、一応流れ星の経理担当やし、ちゃんと営業してるか確認しとこうと思って……」
「まったくもう」