流れ星スペシャル
「海鮮塩焼きそば2人前、6番も頼むわ」
「はいっ」
とりあえず、いがみ合いは休戦。
隣の鉄板で粉ものを焼く店長と二人、たまりにたまったオーダーをさばいていく。
カチャカチャと、鉄板とコテが擦れる音、
高温の鉄板にジュワーッと種を流し込む音が、店内に小気味よく響いていた。
ウィーン、ウィーン……。
そうしている間にも、新しいオーダーが次々と入ってくる。
背後の調理台の上では、小さなプリンターがひっきりなしに、感熱のロール紙を吐き出していた。
ホールで取った注文が転送されて、ここに飛ぶんだ。
それをピッピと壁のバインダーに貼りつけながら、店長が大声でオーダーを読みあげる。
そういう声に、音に、大きな掛け声に、煽られていく感じも、
自分のコテひとつで、オーダーを次々とさばいていく感じも、
オレは単純に好きだった。
だからたぶん、まだ店を辞めてないんだと思う。