流れ星スペシャル
「ユースケ、5番、海鮮焼きそば、よろしく」
「はいっ」
鉄板の前に並んで立つトシさんから、また声が飛んだ。
ボクはその言葉のままに、ただひたすら焼き続ける。
一品出来あがって、目の前の鉄板が空くタイミングで、次のメニューの指示が飛ぶ。
昨日までとはちがう。
ひとりでこんなに焼いたのは、今日が初めてだった。
流れ星でバイトを始めて、ほぼ半年。
焼きを覚えたのは、ほんの2カ月ほど前のこと。
いつもだともっと大勢のスタッフがいるし、今日みたいに噴いた日は、まだ手の遅いボクに替わって、他のスタッフが焼いていたから。
今日はオープン直後から、ずっと満席が続いていて、忙しさが半端ない。
食べ放題セットのお客さんも多いし、焼きの注文がひっきりなしに入っていた。
その上、本日デビューの店長が、ありえないくらい何もできなくて……。
ボクはいいけど、隣でトシさんがイラついてるのがわかるから、かなり心臓に悪かった。