流れ星スペシャル
10時を過ぎて、ニューオーダーの勢いがピタッと止まる。
「ユースケ、休憩行って。ゴメン、15分。うるるんも!」
トシさんから指令が飛んで、ボクらは事務室でさっきのお好み焼きを食べた。
「15分で戻らなあかんねん」
「うちもアズちゃんひとりじゃ心配やから、早よ食べよ」
焦げたお好み焼きにソースを塗ったものは、やっぱりそういう味がした。
焦げたお好み焼きにソースを塗った味。
もしも自分の中に『お客様に食べてもらいたい味』ってものがあるとしたら、これは絶対にちがうと思った。
そしてトシさんの胸には、そーゆー思いがきっとある……。
「ボク、店に残ってよかったな」
うるるんに言ってみる。
「え、保留やろ?」
「いや、もう保留やめるわ、ここに残る」
「へぇ~」
うるるんが不思議そうにボクを見あげた。
それから、何か思い出したようにプッと吹き出す。