流れ星スペシャル
活気に煽られてテンションがあがり、焼きそばを焼く手元に気持ちが入り込んでいく。
鉄板に投入した具材にパラパラと火を通し、そこに麺をかぶせ、出汁をかけて蒸らす。
それをほぐしながら、旨味を絡め、炒め上げていくんだ。
「ヤバいな、トシさん。めっちゃ早いわ、あのコテさばき。神業やん……」
「しっ。店長に聞かれたら、お前アウトやぞ」
他のバイト達がひそひそと、ささやきあうのが聞こえた。
しゃべってんと働け。
注文が押している今は、とにかく各テーブルへ最初の一品だけでも素早く届けたい。
料理が何も出ていない状態では、ビールも会話も進まないから、お客さんの待たされた感が募るんだ。
比較的手早く出来る麺類をオレに振ってくるあたり、富樫さんもそこはわかって采配している。